テンペラについて
 
テンペラの始まりは、紀元前エジプトのミイラの棺の肖像画にみられ、ビザンティンでは金箔等を使ったキリスト教イコン画(聖像画)にみることができます。
13世紀チマブーエは、ギリシアの卵テンペラを移入し、14世紀ジョットはビザンティン様式から、イタリア絵画を解放し、ルネッサンスの幕開けを独自の絵画技法で開きました。

15世紀に入るとフラアンジェリコ、ボッティチェリなど様々な画家によるテンペラの傑作が生まれました。北方ルネサンスと呼ばれる、アルプスの北地方(フランドル絵画では、テンペラと油を交互に重ねて描く混合技法による繊細で質の高い絵画が多数誕生しました。
この技法の完成者といわれるのがネーデルランドのヴァン・エイク 兄弟で、ゲントの祭壇画は、絵画史上最高傑作と呼び名も高いことで知られています。

イタリア・ルネッサンスの後期、ティツィアーノやティントレットなど、ヴェネツィア派を中心とした板やカンヴァス上に描かれた油彩画も、北方ルネッサンスのフランドル絵画ほど、複雑ではありませんが、絵の下層で「白浮き出し」という、灰色のテンペラの上に油をのせる技法だったこと、そして、スペインやドイツではエル・グレコ、ベラスケス、ルーベンス、レンブラント、ゴヤなど18世紀中ごろまでヨーロッパ絵画の油の酸化による焼けの少ない油絵は 多くがテンペラとの併用技法だったことが20世紀に入ってやっと明らかにされました。

19世紀にテンペラは表舞台から退きました。20世紀に入りパウル・クレー、カンディンスキー、ウィーン幻想派、アンドリュー・ワイエスなどにテンペラ画を見ることが出来ます。

テンペラを描く際の材料について紹介します。

アイコン 顔料
各種取り混ぜて10色もあれば十分です。

アイコン 
テンペラ画独特のハッチング表現には英国製のコリンスキーセーブルの筆が使いやすいです。
国産にもありますが毛先の脂肪分がなく、テンペラでの描画性と耐久性に欠けます。

アイコン パレット
日本画の丸い絵皿や菊皿や水採用の陶器製パレットなども使用できます。
テンペラ画では絵具を作りながら制作するので、顔料と絵具を指などで練り合わせる場所をもったパレットが便利です。

アイコン メディウム瓶
薬の空き瓶など50~100ml程度の蓋付きのもが便利です。

アイコン メスカップ
メディウム製作時に、成分の量を計ります。
料理用の100mlのものがあれば十分です。

アイコン 支持体
小さな作品であれば10mm程度のシナベニヤで十分です。
大きな作品の場合には油絵用の木粋に5mm程度のベニヤを貼って使うか、ランバーコア合板を使うといいでしょう。

アイコン 和紙、布
板の表面の割れを防ぐ目的で貼る素材で、丈夫なものが求められます。

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ウサギ膠が使われます。
日本画用の膠は、やや柔軟性に欠けるので、ウサギの皮から作られるこの膠が重用されます。

アイコン 白亜石膏
合成のものが安く出ていますが粒子が細かく揃いすぎているので、下地用材料としては亀裂などを生じやすくなります。

アイコン 刷毛
地塗りの時に使用し、幅3cm程度の柔らかい毛のものを一本用意すると便利です。